第一志望、落選

第一志望の企業に、落ちた

ショックだった。
信じられなかった。信じたくなかった。
10分間は呆然とした。

「マジで?マジで?うそ?」
「面接に進むことすらダメなの?直接話すら聞いてくれないの?」
「おれ本気で提出書類作ったよ?発狂しそうなテンションで」

ベッドに頭を押し付けてはメールを何度も見返す。
ケータイで見ていたが、パソコンでも見る。
どっちも同じ文面なのは明らかなのに、認めたくなかった。

転職の決断の後押しをしてくれた会社。
考え方を解放してくれた社長。
まっすぐな志をストレートに伝える副社長。
そして、マーケティングと今までの自分の人生をつなげてくれた常務。
彼らの生き方は、確かに私を導いてくれた。
直感で生きる勇気をくれた。
金融、経済、政治、歴史といった今まであまり学んで来なかった分野を知るきっかけをもらった。
学ぶ楽しみを再認識させてくれた。


ふつふつと沸いてくる考えがあった。


「落としたことを後悔させたる」


そしてもう一つ。


「今の自分の実力はこうなのだろう」


冷静だった。自分でもびっくりした。
涙の一つも出るかと思ったが、出なかった。
出たらきっとすっきりもしただろうが、お腹が重いくらいだった。
いっそ死んでやろうか、という気持ちも沸かなかった。だれが死ぬかちくしょう!

業界経験はない。
マーケティング経験も、実務に関する知識も学び始めたばかり。
資格試験もこれから受ける。
熱意と想いと他業界の実績で乗り切ろうとした。
乗り切れると信じて突き進んできた。
が、だめだった。

さらに次の言葉が沸いてきた。


「起業しよう」


本当の意味で背水の陣になった気がした。
もう戻れない。
自分の思うように、やるしかない。

悔しかったが、どこか落ちて安心している自分もいた。
自分はかなりわがままだ。自分のやりたいように生きたい気持ちが強い。
自分で決断したい。我が強い。自分が興味をもったことについては誰にも負けないように学ぶ自信がある。上司だろうがなんだろうが関係ない。
人に合わせることはできなくはないが、したくない。
無理に合わせて自分のエネルギーが押し込められる経験は何度もしてきた。

その企業に転職することが自分のゴールになっているのが怖かったのかもしれない。


前職を辞めるとき、この企業に行きたいから辞める!と豪語していた。
本当は3年で辞めると前々から決めていたにもかかわらず。
辞める理由を探していたのだろう。周りを納得させるために。説明するために。
たまたま出会った素敵な会社に、直感で惹かれた。
志にあふれる、世の中に貢献する気持ちにあふれる、まっすぐで正直な会社に。
その直感、惹かれた理由に嘘はない。だからここまでの志望理由書が書けた。苦しみながらも、本気の言葉で書けた。正直に、まっすぐに。

だから「自分の想いの強さ」に気づけた。

この強さを活かす仕事がしたい。

その答えは「起業」にある気がしている。

学生時代から細々とイベント参加。メルマガ登録していた起業関係のホームページを眺める。
ちょうど来ていたメルマガから、すぐにイベント参加申し込みをした。
不思議なほどスムーズに。


そんな中、前職の元上司から電話があった。

「ここまでどんぴしゃでくるか!?」
タイミング、縁とは不思議なものだ。まさかどっかで情報もれてる?!

「先輩、すみません。ちょっと今の心境じゃ電話出られません。今の気持ちを文章に残しておきたいんです。自分が本気になって臨んだ夢が破れたとき、どんなふうに自分は感じるんだろうと。どんなことを書き残そうと思うんだろうと。恥ずかしげもな
く、正直に綴ることはできるんだろうかと。自分の考えをそのままに伝えられるのかと。自分は、大丈夫かと」

後でちゃんと掛け直します。

退職してまで気にかけてくれて、本当にありがとうございます。


そして私を落とした第一志望の会社さんへ。

しっかりと断ってくれてありがとうございます。
あれだけ想いを込めて文章を書けたのは御社のおかげです。
自分の想いの強い部分に気づくきっかけをもらいました。
ご縁がなかったことはとても残念ですが、御社と出会えたことで私はかけがえのない気づきを得ることができました。

「自分は、まだ、なんとかなる」


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